“馬の骨”に投資する米国、無視する日本 中央研究所なき後のイノベーション・モデル

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140826/372600/?rt=nocnt

 でも、彼らは偉いと私は思います。日本の企業は、何が贅肉(ぜいにく)で何が脳みそか分からなくなってしまい、贅肉を切るつもりで脳みその方を切ってしまった。切り取られたイノベーターたちは、それでも自分の技術を世に生かしたい。そのために沈みゆく船を脱出していったのですから。日本のためにはならなかったけれど、中国や韓国のためにはなりました。それは全体最適にとって良かった。彼らの持つ技術が実用化されて価値が生まれたのです。

 まず、若き科学者たちに対して具体的な“お題”を与えます。例えば「国境警備に役立つセンサーを作りなさい」などの課題ですね。そして、手を挙げた大学院生やポスドクを3〜4倍の競争率で選別して会社を興させ、最初に約1000万円の資金を与えて半年間研究をさせる。これを「フェーズ1」と呼びます。その中の有望株には、さらに約8000万〜1億円の資金を2年間支給する。これを「フェーズ2」と呼びます。この2年間で今までにないものができたら、「フェーズ3」として、政府が強制調達によって強制的に市場をつくるか、ベンチャーキャピタルを紹介します。