良い本を絶やさないためにはどうすればいいか

というネタをwakatonoさんのところでやっている。でも、良書って何だろう。最近、書店に大量に並んでいる本は良書ではないと思うけど。辛口かもしれないけど、コンピュータ関係の本棚には消費するようなタイプの本が多くて、10年、いや来年読んでも価値のある本って、どのくらいあるのだろう。
コンピュータ関係って、これだけどこにでもあるようになったから、必然的にノウハウ本が必要になってはいるのだけど、良書を必要とするような層はもともとコミュニティが大きくないから、多くの出版社がやってゆけるような規模のある市場ではないわけで、そういう意味では福利厚生は乏しくてボーナスもどうなるかわかんないような小さい出版社にいる好きな経営者と好きな担当者が好きな著者と情熱と使命感をかけて作るものであるのではないか。で、そういう本というのは売れなくて当然というか、同じ土俵にいる書き手と同様のスキルのある読者というのに売れる以外では、せいぜいがどこかの大学で教科書になって何年かかけて1kもはければ御の字なのではないかという。んで、そもそもコンピュータ業界というのは、そういうスキームで本を出していけるほどネタが長持ちしないという限界があるわけで。あと、最近、学生が教科書買わないし。教科書が推薦図書になってしまっていたりしているので、もっと買わないし。それに図書館にあっても読まないし。読むのと議論するのと書くのを通じて考えるというのが学生の仕事なのにね。
そういう意味ではオライリーがんばれと言いたいかもしれない。スタンダードを出して、んでもって、ちゃんと改訂してヴァージョンアップしていっているのはすばらしい。どうして日本のオライリーは成立しないのだろうね。正直なところ、この業界に関する本を出す出版社が多すぎって感じもするね。
あと、本は安すぎです。良書は高いものだと思います。高くないとやっていけないくらい売れないもんです。高いから元をとろうと真剣に読むし、なにより高い買い物であるので吟味に耐えないと買われません。金のない人は図書館に買わせるとか、センセーだまして買わせるとか、金のある友達おだてて買わせるとか、立ち読みで通って内容を吸収しようと努力するとか。金出し合って買って回し読みするとかコピーするとか、それも吸収できそうもないほど濃くて1冊きちんとしたのを手もとに置いておきたいからしょうがなく買うとか。数度手に取って、また書棚に戻しを繰り返し、決心して買うものなのではないか。身銭を切るとはそういうことじゃないのか。それを安く出そうというのが間違い。