OSSでソースが入手できることは開発者にも利用者にも軽視されている

という感じ。バイナリ利用者はともかく、開発者もライセンスに従うということを怠っているように思う。ラズベリィジャムの法則でどうしようもない事なんだろうか。
3.xくらいのKNOPPIXの例もあるので、特に日本でということもないようだ。以前に指摘したことがあるが、産総研ですら、そういうところはフォークした開発物の一次配布者としての自覚に欠けたままだ。
最近の話で印象的なのは、SylpheedWindows版で同梱されていたGNUpgWindowsバイナリ(独自のGUIフロントエンドといっしょに配布)であるWinPT由来のgpgmeのDLLの話。MLで少し前から話題になっている。
WinPTは、もとはGNUpgであるのだが、バイナリにする際にスナップショットをベースにしていて、かつコンパイラを通すためにMakefileなどに改変が入っているそうだが、オリジナルのバイナリ配布者からはソースが出ていない。ソース請求をするとGNUpgの最新スナップショットを落としてくれという返事があったそうだ。それはGPLにマッチしない。
Sylpheedの以前のバージョンのいくつかでは、このWinPT由来のgpgmeのDLLのライブラリのバイナリ添付が行われている(現在は使われていない)。ソースがそろわない可能性について、開発者である山本さんは気が付いていたようだが、Sylpheedのバイナリ配布はそのまま実行されていたし、現在でも該当するバイナリのダウンロード可能だ。
今回の対応としては、山本さんは、該当するバイナリの配布を、ライセンス違反指摘された時点で、とりあえず停止する義務があるように思う。次には、該当バージョンの利用者にライセンス違反の疑いがあることと、利用の停止を呼びかけるべきだ。最新版は問題を持っていないので、乗換えをすすめるのに問題はないはずだから。
きちんとした対応を行うのに遅いということはない。これからでも十分間に合うと思う。
ソースの収集と管理は面倒なことではあるのだが、OSS開発者がソースを明らかにした作業をすることは、ソフトウエアの作者自身を守ることであるということを忘れているのだろうか?


追記:
Sylpheedは、該当するバイナリの配布を停止することになったようだ。

[sylpheed-jp:10089] 一部のバージョンのWin32バイナリの配布停止のお知らせ
日付: 2006/11/27 19:16


2006/11/27 一部のバージョンのWin32バイナリの配布停止のお知らせ

ライセンス上の問題があったため、Sylpheed 2.1.6-win32-beta6からSylpheed 2.2.6-win32までのバイナリの配布を停止しました。

これらのバージョンでは、WinPT由来のGPGMEライブラリ(libgpgme-11.dll)を添付していました。このDLLはGPGMEのCVS版からビルドしたものと思われますが、現在対応するソースコードは配布されていません。現在の状態はGPL/LGPLを満たしておらず、WinPT の作者からも現時点ではソースコードの提供を受けていないため、該当するバイナリの配布を中止するに至りました。

なお、Sylpheed 2.2.7-win32以降のバージョンではGPGME 1.1.2から自前でビルドしたDLLを添付していますので、ライセンス上の問題はありません。該当するバージョンを現在使用している方は最新版へのアップグレードを行ってください。

消えているのを確認した。
http://sylpheed.sraoss.jp/sylpheed/win32/
開発日記にも同じ文面が書かれている。
http://sylpheed.sraoss.jp/diary/?date=20061127#p01
よかったよかった(^^)。
それでこそ、OSS開発者です(^^)。