これを混入と呼ぶのは主体を間違えているのではないだろうか?

気にしていますか? オープンソースソースコード混入
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20061124/254769/

こうしたソースコード混入に起因するトラブルは,組み込み系システムではすでに散発している。パソコン周辺機器のエレコムは2004年,同社製ルーターの利用者からGPL違反を指摘された。このルーターのファームウエアには,GNUライセンスで配布されているLinux Kernelのソースコードが混入していた。GNUライセンスの効力は派生物にも及ぶため,エレコムは最終的にソースコードを開示せざるを得なくなった。その結果,ソースコードに含まれていたルーターのリモート保守用の“バックドア”の詳細が明らかとなり,同社の開発者はバックドアの削除に追われた。

OSがLinuxなのに、それをコード混入というフレームで扱うのは大きな間違い。
そういう意味で、この記事のこの部分は、単なるFUDで報道としては大きな間違いだ。天下のITproでも認識はこの程度だということだろうね。技術メディアがどんどん減っているのはほんとうに困ったものだ。
エレコムは、独自のソフトウエアの公開を迫られたわけではないし、それはエレコムが開発したソフトウエアでさえない。Linuxを使っているのなら、ソースを出せといわれただけで、その初期対応を間違えたのが馬鹿だっただけなのに。
バックドアをさらすようなことをしたのは、これもコード混入とは問題が別で、ただの馬鹿にすぎない。そもそも、バックドアが明らかになったのはソースの公開から出た問題ではなく、ファームの解析から出た結果ではなかったのではないか? それに、ソース公開より、バックドアを指摘とソース提供依頼が先であって、それに対してソースは出さないと断言したエレコムに対してそれはGPL違反という指摘になったという事なので、この記事では順序がまったくの逆になっている。
理解できていないなら論外だし、裏を取って書いてもこんな内容であれば、単に結論を誘導するためのネタに使ったというだけで、記事品質だけでなく品位も問われる。記者の目は署名記事で、この記事を書いたのは実森仁志氏(日経SYSTEMS)ということだ。日経の他の媒体からのチェックは入らなかったのだろうか?そもそも、社内で詳しい部署に裏を取ることすらしていないのだろうか?
日経さん、貴社の眼は、冠コラムでもこの程度のものか?


龍義さんの元ネタ。
http://www.tatsuyoshi.net/toyota/tech/elecom/gpl.html
スラドの記事。
http://slashdot.jp/linux/article.pl?sid=04/04/04/1740234
当時の日経記事の要約。
http://slashdot.jp/linux/comments.pl?sid=190074&cid=575354


後半で触れられているコンプライアンスの観点からのOSS排除については、コンプライアンスの観点からOSSを積極的に選択するというのが正しい道のように思う。10年前ならいざしらず、もはや業務の現場からOSSを消すことはできない。利用することを前提にする立場での報道というのはないのだろうか?