firmware hackはよくないのだろうか?

 PF部ので私の発表に対して、「製品をクラックするのは嫌だな。」と@tetsu_kobaさんのコメント。そういえば、@shigepon7さんもハンドセットはクラックしないでって言ってたな。こちらは立場上もあるんだろうけど。
 さまざまな規制や基準で、仕様の落とし所が決められた製品のfirmwareを入れ替えることは、もちろん大きなリスクを伴う。製品が壊れることもあるだろうし、最悪出火や電池爆発につながなる可能性もある。でも、それはhackするユーザーのリスクだ。メーカーとしては製品保証の問題から、hackをやめてほしいのだとは思うが、そうであれば、hackしにくい製品を作ったらいい。OSSを製品には使わないことだ。まったく逆にsourceを公開し、どうしてここに落ち着いているのかの内部基準を明確に公開すると、事故も少なくなるだろう。hackを防げないのであれば、そういう方向を選択する道もありうるだろう。hackによる調整結果が、製品そのものの品質向上につながることすらある。すでに、そういう選択をしたメーカーもある。
 製品の二次サプライヤは、SoCベンダの出してるBSPベースでしか対応しようとしない。保証とか保守とかゴニョゴニョ言い訳する。BSPはかなり遅い頻度でしかリリースされないので、先端の環境からはかなり遅れがちになる。SoCを作っている一次サプライヤの製品開発サイドでは、BSPより先に自社の製品のために最新環境のキャッチアップを行うので、出てくる製品ももちろん最先端になる。勢い、遅れる差分はどんどん独自に吸収していかないと、二次サプライヤ経由で出来上がる製品は出る前から古臭いものになってしまう。
 独自のキャッチアップに尻込みする日本の組み込みの現場は、まだOSS慣れしていないのだと思う。海外とのやりとりでも、製造部門を持っているような台湾会社では若干そういうところがある。でも、すっかり抜けているところは、ソフトウエア主導になっていて、可能な部分については自分たちで保守していく姿勢を明確にしている。
 OSSは、PC用のソフトウエア環境として、20年かけて一般化してきたけど、組み込みの現場のほうがOSSの専有度合いは強い。それも短い期間に急速に強まった。FiremwareがOSS化し、開発スピードが速くなっていく中で、BSPから出られない所は今後生き残っていけないんだろう。
 現状はまだそういうところと付き合っていくしかしょうがない。ただ、なんにもしないで、それをよしとしていると、そういうところといっしょに消えていく運命になってしまう。二次サプライヤから供給を受けるサイドでも、現場で独自に少しでもキャッチアップしておくことは、将来大きな差になるんじゃないかと思ってる。
 製品をhackするのが気持ち悪いというか、落ち着かない気持ちはわかるけど、ハードウエアだって、そういうことが普通な時代になってきているんだと思う。
 ハードウエアの小ロットオリジナルというのの未来が急速になくなっている。すでに量産に乗っているもののカスタムにしても、小ロットではお断りという風潮だ。それでも低コスト小ロットで無理に作ると、製造工場を選べないことになってしまう。「品質管理って何?」って平気で言う工場長の所ではモノは作れない。
 そのような状況で何かを提供していくには、汎用品をファームカスタムして、ニーズに応える以外に道はないし、やらなければ画一化した未来しか待っていないのだと思う。