「京」からエクサスケールへ―スーパーコンピューター開発と国家プロジェクト

http://jun.artcompsci.org/talks/fukui20120614.pdf

「京」の進み方の問題点と思われるもの
1. 何をするために作るのかを「ワーキンググループで議論」
2. 結局、「何のため」かははっきりしないままスタート
3. 計画スタートまでに目標性能が二転三転した。
4. アーキテクチャも二転三転した。
5. 開始してからメーカーが降りるという前代未聞の事態にいたった。

日本メーカーは大規模LSIの少量生産に対応したがらない(できない)= 設計能力がない(設計が高コスト)

目標設定における問題のまとめ
・ 実は大型計算機開発への国家投資が、計算機だけでなく半導体産業を通して経済発展全体に貢献するはずという30年前に破綻したモデルが暗黙の大前提としてある。
・ 結果的に、生き残れなくなった半導体製造産業に公共投資
半導体各社が今後どうするか?というのが根本問題にある。
明らかなことはファブレスで生き残ってはいけないということ。

開発することにしたものも、開発のしかたも間違っていた

時代遅れな目標が設定される理由: 多分2つ
・ プロジェクトの時間スケールが長すぎる
・ 実質上のプロジェクト立案者の知識が古い

まとめ
「京」開発プロセス、できたものは色々おかしい
・ その根本的な理由は、「国家によるスパコン開発が産業発展に寄与する」という幻想と、それが実体化した官学複合体
・ エクサをやるなら幻想から一度脱却するべき

とても面白かった。