著作権法改正、Yahoo!・Tポイント提携に感じたデジタルデータをめぐる重大な社会変革の足音

http://diamond.jp/articles/-/20395

 その音楽配信サービスが、スマートフォンへの端末移行に伴って、売上が低下した。そのスマートフォンの普及は今年から来年にかけて、いよいよ本格化しようとしている。そしてスマートフォンはパソコンとの親和性が高い。パソコンはリッピングや違法ダウンロードの温床であろう。となると音楽コンテンツ、ひいては音楽産業は一体どうなってしまうのか――おそらく音楽産業側にはこうした懸念が存在したはずだ。

 こうした懸念と向かい合った時、産業側の市場支配力を維持したいと、主要レコード会社は考えたのだろう。そして選んだのが、消費者の利用を制限する方向でのロビイングであり、音楽コンテンツの利用実態と離れる方向で進められた法改正である。

Yahoo! JAPANとCCCは、2010年7月に相互の事業発展や競争力強化を目指し、すでにポイントサービス事業を中心とした包括的業務提携を締結しておりましたが、このたび、両社の強みを活かしたさらなる事業の拡大を期して、新会社を設立するに至りました。1ヵ月あたり約5,100万人のユニークカスタマー数を誇る国内最大級のインターネットサイトを運営するYahoo! JAPANと、日本の人口の約3分の1にあたる4,045万人のユニーク・アクティブ会員を有するCCCが本提携を締結することで、日本最大級のO2Oプラットフォームの構築が可能となり、インターネットとリアルの双方における圧倒的な経済圏の確立を目指します。」

 この二つを掛け合わせれば、Yahoo!とTポイントに関わる部分でのサービス利用がゼロだったとしても、消費者が〈何をしようとしていた〉かが詳細に分かる。極論すれば、そうした〈気配の情報〉を事業者に提供したり、またそれをコントロールすることで、日本中のほとんどの生活空間が「自分たちの影響下にある売り場」となる。

 ただ、そうした社会変革が進みはじめる中、消費者が置き去りにされている印象が強い。あまりに産業都合で物事が進みすぎていないだろうか、そしてスマートフォンがその先棒を担いではいないか――経営コンサルタントとしては産業振興を無条件に支援すべきなのかもしれないが、産業とて消費者の存在が大前提だと考えれば、そうした気分は否めない。