“中国=設計者”の新たな図式から見える、半導体業界の2つのキーワード

http://eetimes.jp/ee/articles/1210/25/news039.html

 Yoshida氏は続ける。「ファブレス半導体の分野では、今や世界中の国や地域が“level playing field(公平な土俵)”になっている。シリコンバレーでも中国でも、ファブレス企業がやっていることは、基本的には変わらない。例えば、ARMとライセンス契約を結んでCPUコアを調達し、Imagination TechnologiesからグラフィックスIPコアを購入してLSIを設計するといった具合だ。確かにひと昔前の中国のファブレス企業は、“お金がないからIPを買えない”という状況にあった。でも今は違う。かつて両極を隔てていた垣根が消滅し、シリコンバレーの“飛び地”が中国に出現したといえる」。

 MediaTekがこれほど目覚ましい成長を遂げた要因の1つが、「ソフトウェアの開発に注力したことだ」(Yoshida氏)。同社は、スマートフォンの製造に必要なチップセット(SoC)とソフトウェアを1つのプラットフォームとしてまとめて端末メーカーに提供している。SoCを扱うには、ハードウェアであるSoC自体も確かに重要だが、それを制御するソフトウェアがさらに重要だ。ところが、台湾ではソフトウェアエンジニアが不足している。そこでMediaTekは中国本土に目を付け、優秀なソフトウェアエンジニアを片っ端から雇っていったというのである。かつて、携帯電話機用SoCの開発を手掛ける日本のある半導体ベンダーが同じように中国でソフトウェアエンジニアを雇おうとしたところ、優秀なソフトウェアエンジニアの多くはMediaTekに採用された後だったという。