Instagramの集団訴訟は対岸の火事ではない ― 「日本版クラスアクション」導入がウェブサービスの利用規約運用に与える影響

http://blog.livedoor.jp/businesslaw/archives/52295629.html

このお話、「対岸の火事」とか「訴訟社会アメリカならでは」と思わないほうが良さそう。というのも、年明けの通常国会に、日本版クラスアクションともいうべき「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度」の法案が提出され、可決→導入される見込みだからです。先日、私の勤務先が所属する業界団体が開催した消費者庁の同制度立法ご担当による説明会を聞いてきたのですが、概要は以下の図にあるとおり。

ここで消費者庁の資料を今一度よく読むと、左下表中②に「不当利得に係る請求」も集団訴訟の対象事案として認められることになっており、ユーザーはこのような事例でも集団訴訟を起こせるようになると解釈することができます。つまり、日本版クラスアクション法案成立後は、事業者がそれまで明確に設定していなかった利用権を追加的に設定するような利用規約の変更・改定を行うと、(単なる炎上→レピュテーションダウンや、消費者契約法に基づく個別ユーザーとの契約無効訴訟に留まらず)法的に差し止めを受ける可能性だけでなく、利益を得ていればその返還を命ぜられるリスクが発生することになります。