【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】NVIDIAがスマートフォンに切り込むための「Tegra 4i」の秘密

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20130228_589799.html

 Tegra 4とTegra 4iはどちらもTSMCの28nmノードのプロセス技術を使っている。しかし、Tegra 4は低消費電力の「CLN28HPL」を使っているのに対して、Tegra 4iはモバイルでハイパフォーマンスの「CLN28HPM」を使っている。どちらもHigh-k/Metal Gate(HKMG)をゲート絶縁膜に使ったプロセスだが、28HPMの方がハイパフォーマンスに振られている。NVIDIAのPhil Carmack氏(SVP, Mobile BU, NVIDIA)は次のように説明する。
 「28HPMと28HPLの最大の違いは、HPMではトランジスタに歪みシリコン(Strained Silicon)を使っている点だ。そのため、HPMでは高いパフォーマンス/電力を達成できる。だから、Cortex-A9程度の大きさのCPUコアなら、28HPMは理想的なプロセス技術だと考えている。とりわけ、Tegra 4iの場合は、ソフトウェアディファインレディオ(SDR)のモデム部も高速に動作させる必要があるため、28HPMは合っている。

 しかし、28HPMには危険もある。それはアイドル時のリーク電流量が増えることだ。我々は、電力セーバーコアへと切り替えることで、使わない時はハイスピードトランジスタを使ったパフォーマンスコアをオフにすることができる。しかし、CPUコアのサイズがCortex-A9より2倍以上大きいCortex-A15の場合は、それでも電力が増える危険がある。CPUコアが大きい分だけトランジスタ数が多く、よりリーク電流(Leakage)が増える可能性があったからだ。Tegra 4ではその危険を避けるために、28HPLを採用した」。