クリス・アンダーソンのメイカー企業「3D Robotics」訪問記
http://wired.jp/2013/03/25/3d-robotics-interview/
特にメキシコのティフアナは、各国とのFTAを軸にしたメキシコ政府による積極的な自由化と対外解放戦略によって、トヨタをはじめサムスンやパナソニック、ソニーといった名立たる企業の工場がひしめき合う、電子組み立て工場の世界的なホットエリアに成長している都市だ。
「ティフアナはアメリカにとっての深圳だ」とアンダーソンは言う。労働力が安価なだけではない。メキシコでは毎年10万人を超える工学部の学生が卒業する。「ここでは、ハイテク工場で何年も働いていたような人材が無尽蔵に雇える。そんな場所が中国以外のほかにあるだろうか? これはアメリカのメイカー企業にとって大きなアドヴァンテージだ」。アンダーソンが先ごろ 『ニューヨーク・タイムズ』紙のオピニオンページに寄稿したタイトルはこうだ。「Mexico:The New China」
工場はメキシコか。なるほど。
メイカー企業のイノヴェイションを支えるこうした環境づくりは日本でも可能だろうか? 香港と深圳、そしてサンディエゴとティフアナのように、R&D部門と安価な熟練労働者を最短で結ぶような体制を築くには、日本と中国には政治的な問題が横たわっている点をアンダーソンは指摘する。「アメリカとメキシコの間には政治的な問題がない。それに、中国では春節(旧正月)にサプライチェーンが2週間から1カ月も止まったりする。グローバリゼーションの時代にこれは問題だ」
言語の壁がある日本では、これだけの多様性をもったウェブ上のコミュニティをつくり上げていくことはもちろん簡単ではない。そのことに理解を示したうえで、アンダーソンはこう問いかけてきた。「日本ではオープンソースの成功例ってあるかい?」 これは言葉の問題ではなくカルチャーの問題ではないか、というわけだ。つまり、シェアすることに対する社会的なスティグマがあるのではないかと。