新たなSSDキャッシュ「bcache」を実験的に導入、Linuxカーネル3.10が登場

http://sourceforge.jp/magazine/13/07/02/140000

SSDなどのストレージデバイスをハードディスクのキャッシュとして利用することで読み込みを高速化するフレームワーク「bcache」の導入がある。SSDキャッシュはカーネル3.9の「dm-cache」で初めて導入された機能で、bcacheは小容量のブロックデバイスを利用するブロックレイヤーキャッシュ技術。L2ArcやZFSに似たものだが、ライトバックキャッシュも可能でファイルシステムにも依存しないという。
 また、タイマーを使わずにマルチタスクを実現する「Timer free multitasking」と呼ばれる機構もサポートされた。本バージョンでの実装では完全にタイマー非依存になっているわけではないが、これにより、CPUの消費電力削減や処理パフォーマンスの向上といった効果が期待できる。
 ファイルシステムでは、実験的サポート段階にあるbtrfsでディスク容量をより効率的に利用するためにサイズが縮小された新たなメタデータエクステントが導入された。これによりエクステントツリーのサイズが30〜35%縮小できるほか、コピーオンライトオペレーションを削減できるという。この機能は実験的と位置づけられており、mkfsコマンドで有効にする必要がある。XFSではメタデータでのCRC32cチェックサムが実験的に実装された。 
 ネットワークでは、短いTCPトランザクションにおける終了処理でのレイテンシを削減する「TCP Tail Loss Probe(TLP)アルゴリズム」が追加された。また、SysV IPCやrwsem(read-writer semaphore)のロック、mutexのロックなどにおけるスケーラビリティの改善も行われているという。ARM big.LITTLEアーキテクチャサポートやMIPSでのKVMサポート、トレーシングフレームワークでのトレースバッファのスナップショット機能サポートも加わっている。