メディアを襲う”破壊的イノベーション”読者・視聴者を3分の1失ったアメリカの報道機関

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そして、もうひとつの懸念が、「報道内容の低下が顕在化している」(ミッチェル氏)ことだ。人員削減や、コスト削減のせいで、費用がかからないニュースの報道に流れている。

「その結果、報道が、何かが起きてから取材する、というパターンに陥っている。だから、読者にはニュースの上澄みしかわからない。たとえば住宅市場の崩壊、金融危機など、小さな事象が長いこと積み重なってきているが、それが弾けるまで、どこも報道しないからだ」。

ハフィントン・ポストは、当初はブログだけで、かわいい猫のビデオなどもアップし、「完璧ではなくても読むに値すればいい」(同氏)という存在だった。しかし、トヨタと同様、今は記事を高品質なものに拡大し、昨年はジャーナリズムで最高の栄誉であるピュリッツアー賞さえ獲得した。

一方で、有力紙ニューヨーク・タイムズでも「破壊」が起きているという。新聞業界の構造不況と、ハフィントン・ポストのような破壊者の登場に対応し、タイムズはビデオやデータ・ジャーナリズムなどさらに深いサービスを拡大している。これも「自己破壊のプロセス」だとスコック氏は語る。