「視聴率完全不在」ドラマが躍進する米国テレビの新世界 ネットフリックスが開けた「蟻の一穴」

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140203/259232/

 お試しといっても、完全に第1回として機能する俳優陣とセットを使い、その1回で主な登場人物や筋書きや特徴を見せなければならず、それだけやってもボツになる可能性の方が高い(スペイシーによれば、2012年はパイロットが全部で113本制作され、そのうち放映にこぎつけたのはわずか32本だったそうだ)。

パイロットを作らなくていいといったのは、Netfilixだけだった。

 「テレビ制作者は、視聴者の集中力というものを誤って見ていたようだ。実際には、視聴者はDVDボックスセットを週末に何時間もまとめて見るといった楽しみ方もする。少しずつ見たければ少しずつ、一挙に集中して見たければ一挙に見られるよう、視聴者が自分でコントロールできる方がよい。テレビ局がコントロールしてやる必要はない」

 こうした「ハマり見」スタイルは英語で「ビンジ・ウォッチング」と呼ばれている。

 料金レベルの問題だけではない。1本ずつ購入やレンタルの動作をする必要のない「定額見放題」のネットフリックスは、徹底的にインターフェースを「ビンジ・ウォッチング」に最適化している。

 1話を見終わると自動的に次の回が始まり、止めても次に再開しやすいようにアイコンが配置されている。パソコンで見ていて出かける時間になって途中でいったん止め、外出先でスマホを使って続きを見るといった場合も、ほとんどストレスなく止めたところから続きを見られる。クラウド技術を駆使した高度なワザだ。

 競合するHulu(フールー)も、アマゾン・プライム・インスタント・ビデオも、このあたりのインターフェースは全くかなわず、あちこちでストレスが発生する。