無用の長物と考えられていた虫垂の免疫学的意義を解明〜炎症性腸疾患の制御に繋がる新たな分子機構〜

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140410/

 本研究では、虫垂リンパ組織が大腸に動員されるIgA陽性細胞を産生する場であることを明らかにしました。さらに、虫垂がなくなると、大腸の腸内細菌叢のバランスが崩れることも明らかにしました。
 近年、腸内細菌叢の変化に伴い、腸管感染症に対する感受性が亢進することや、炎症性腸疾患が発症することが報告されています。IgAは、腸内細菌叢のバランスの維持に極めて重要な抗体です。本研究により、長年ないがしろにされてきた虫垂が、大腸に動員されるIgA陽性細胞の産生を司る場であることが明らかになりました。虫垂の切除による炎症性腸疾患発症感受性の変化も報告されています。今後、虫垂リンパ組織の重要性を念頭においた腸管免疫系の制御法が開発されることにより、炎症性腸疾患や腸管感染症の治療に繋がることが期待されます。