100倍高速なメモリーを独自開発、異色ベンチャーの野望

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/041700098/041700004/?ST=itarchi&P=1
PEZY Computingの次世代の話。

 ここまでの高速伝送は、端子の電気的接触に頼る現行のインタフェースでは無理だ。
 我々のメモリーには、「磁界結合」と呼ばれる非接触の伝送技術を使う。慶応義塾大学 理工学部 電子工学科の黒田忠広教授が10年以上研究していた技術だ。
 開発予定のメモリーは、8枚のDRAMチップを積み重ねてパッケージングする積層型となる。このチップとチップの間の伝送、チップとインターポーザ(プロセッサとメモリーのデータ伝送を仲介する部品)の間の通信を非接伝送で実現する。
これまで磁界結合を実用化できなかったのはなぜか。
 実用化の大きな障壁だったのが、伝送用アンテナ端子を小型化できなかったことだ。
 磁界結合における伝送用アンテナ端子は正方形の形状で、シリコンウエハー(シリコン結晶の薄い円盤)の表面にDRAMの回路を形成する際に、一緒に作り込むことができる。
 アンテナ端子の一片は伝送距離の2倍以上にする必要があるので、ウエハー厚が50μmであれば、アンテナ端子は100μm角になる。100μmといえば0.1ミリで、数ミリ角のDRAMチップには多く並べられない。
 そこで我々は、半導体研磨技術で知られるディスコなどと共同研究で、ウエハー厚を4μmまで削る技術を確立した。直径300ミリのウエハー全面を、誤差数十nmのオーダーで均一に薄くできる。
 これならアンテナ端子の一片は10μm弱と、従来の100分の1で済む。これでチップに多数のアンテナを並べることができ、実用化が可能になった。これが最大のブレークスルーだ。