【西田宗千佳のRandomTracking】SCE吉田修平氏に聞く、「野心的なゲーム」と「VRゴールドラッシュ」の関係 - AV Watch
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/rt/20150623_707885.html
吉田:ひとつ残念なことがあります。
去年のGDCやE3の段階では、私は「もしかしたら日本のインディーの方が、VRは進んでいるんじゃないか」と思っていたんですよ。デジタルのキャラクターを大事にする、日本の文化性にはぴったりきていることもあって。日本のインディーも目立った動きをしていたんですよ。パルマー(ラッキー氏。Oculus創設者)も言ってたんですが、DK1が出荷されたもののうち、実際に開発に使われた数は日本が一番多かったんです。そういったことで、「日本はVRでいいポジションに行けるんじゃないか」と思っていたんですよ。
ですが、今年になるとですね、欧米のインディーにはお金が入ってきていて、ベテランの開発者を雇い、10人・20人のチームで開発にかかっているんですよ。またビジネス環境の違いか……と思う部分もあります。日本のインディーは太刀打ちできなくなってきた。
−去年、日本のインディーで「面白いこと」をやっていた人々が、今も「面白いこと」の段階で留まっている、ということですか。
吉田:そのままの形でやっているんですよね。仕事が終わってから趣味で、夜にやっている。
−去年あれだけできたなら、VCから資金が出て起業して……という状態になるべきなのに、残念ながらなっていない、と。
吉田:そうなんです。それは日本という環境の違いですね。そこがすごく残念です。
それにはっと気がついたのは、サムスンのモバイル向けVR「Gear VR」を使ったコンペティションなんです。日本の開発者も参加していて、私も応援していたんですが、結局ファイナリストにはひとつも残らなかった。残ったタイトルを見ると、プロダクションバリューが高かったりであるとか、お金をかけて作っているものであったりする。そこで、「ああ、もう流れが変わってきてしまったな……」というのはありますね。
うぐぐ。
吉田:そうですね。VRをやりはじめればすぐわかるのは、「思っていたものがその通りにならず、違う形になる」ということです。だから本当に、作って・作って、経験値を貯めるしかない。バンダイナムコの原田さん(勝弘氏。VRプロジェクト「サマーレッスン」の企画者)も、「迷ったらかぶれ」と言ってますが、早くやったところほど早くヒットにたどりつくのではないかな、と。