医療機器ニュース:生体適合性ゲル電極を持つ柔軟な有機増幅回路シートを開発 - MONOist(モノイスト)

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1605/16/news043.html

 今回、同研究グループが開発したのが、生体適合性、柔軟性、導電性に優れた新しいゲル素材だ。ポリロタキサンと呼ばれるヒドロゲル(内部に水を保持するゲル)に単層カーボンナノチューブを均一に混ぜて作製する。このゲルは柔らかく、伸び縮みし、かつ柔らかい素材としては最大クラスの電流の流れやすさ(アドミタンス)を示す。
 この素材の生体適合性を、優良試験所基準で認定されている第三者機関で評価したところ、4週間の生体内埋め込み試験において、従来の生体内埋め込み型電子デバイスに使われている金属電極と比べて、炎症反応が極めて小さい材料であることが確認された。
 さらに、このゲルをセンサーの電極として応用し、厚み1μmと極薄の高分子フィルムに製造された有機トランジスターの増幅回路と集積化した。増幅回路は8×8の格子状に6mm間隔で並べられており、1つの増幅回路は、信号を増幅率200倍にすることができる。周波数帯域100ヘルツでの増幅率は100倍、1000ヘルツでの増幅率は10倍を超えている。ゲルと極薄増幅回路の2つの技術を組み合わせることで、生体適合性に優れたシート型生体電位センサーが創り出された。