ロボットの心 7つの哲学物語 柴田正良

ロボットの心-7つの哲学物語 (講談社現代新書)

ロボットの心-7つの哲学物語 (講談社現代新書)

副題の通り哲学の本なのだけど、理系でも十分に楽しめる。各章の冒頭には短い物語が置かれ、その章の重要なテーマをそこから引き出している。
感情がフレーム問題を解消するためのクオリアであることを解き明かし、さらに善悪も感情に拮抗可能な別種のクオリアである可能性を示唆して終わっている。簡単にいうと、キカイダーの良心回路の背景理論という感じか。
議論そのものは、強い相対化のもとに行われるので、SF読みにとっては矛盾はない結論になっていくのだけど、論理的に可能というレベルで具体的な結果を引き出すための示唆はない。
さらさらと読めるが、著者の意図を理解しながら進むのは普段脳の体操をしていないと、苦労するかもしれない。