実行力不全 なぜ知識を行動に活かせないのか

実行力不全 なぜ知識を行動に活かせないのか (Harvard business school press)

実行力不全 なぜ知識を行動に活かせないのか (Harvard business school press)

長いけどこの本の前の訳の書評から引用。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20060106#p1

 この本は、成功と失敗を分けるものは「知識」ではなく「行動」であるという。知識は成功した企業にも失敗した企業にもある。知識はビジネス・スクールで学べるし、おカネがあれば、コンサルタントにカスタム・メイドさせることもできる。失敗した企業にないのは「行動」である。
 なぜ行動できないのか。この本は、知識を持つ人はたくさんいるが、行動からしか得られない本当の知識を持つ人は少ないという。優れた企業では平凡な人たちがすばらしい成果を上げている。これは、彼らが行動を通じて本当の知識を体得しているからだ。それに対して、優秀な社員をたくさん雇いながら、成果の上がらない企業もある。それは、優秀な社員たちは知識をたくさん持っているが、行動から得た本当の知識は持っていないからなのだ。
 それでは、社員を行動に向かわせるためにはどうすればいいのか。ここで語られるのは、現場主義であり、失敗を許し恐怖感を与えない組織であり、社内での競争よりライバル会社との競争に目を向けさせることであり、結果でなくプロセスを評価することである。そして、長期的な経営ビジョンであり、情報共有であり、OJTであり、チームワークと人間尊重である。短期的な業績や株価の向上を求める投資家たちは、行動を促すことの阻害要因とされる。
 とりわけ共感を覚えるのは、現実に行動する社員の行動に注目し、彼らが行動しやすくするような環境を整えるリーダーシップを強調していることだ。成功をもたらすのは企画部門ではなく現場で働く平凡な多数の人たちであり、彼らに前向きに行動し、知恵を出させるような動機づけを行うというのは、まさに日本企業が営々と行ってきたことではなかったか。あるいはこの本は、まず行動することが大切であり、戦略はその後で良いという。行動する前にいくら議論しても、単なる知識を超えるものはできないから、まず行動して、行動から得られた本当の知識をふまえて戦略をつくるべきだという。これは見方を変えれば、ボトムアップでの戦略づくりという日本企業の特質に近いものではあるまいか。

という感想をいだかせてくれる本であれば、読んで見たいかも。しかし、積読がだいぶたまっているし、原稿も書かねばならないし...