ついに製品化が始まったスピン注入メモリ

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20121127_575343.html
STT-RAM:Spin Transfer Torque RAM

 MRAM(エムラム)は、磁気モーメントの方向の違い(磁化の向きの違い)を論理データとして記憶する。データの書き換えは、原理的には劣化がない。このため、ほぼ無限にデータを書き換えられる。ただし初期型のMRAMは、データの書き換え(磁化反転)に磁界発生用の配線を必要としていた。電流によって磁界を発生し、磁化の向きを回転させるためである。この結果、メモリセルの面積が巨大化してしまい、大容量化には不向きとされていた。またデータ書き換えの消費電流が大きめになるという問題が生じていた。

 Everspin Technologiesはこの初期型、あるいは「第1世代」とも呼ばれるMRAMを最初に製品化し、量産販売した企業だ。現在では最大容量で16MbitのMRAMを販売中である。

 しかし、記憶容量をこれ以上に増やそうとすると、第1世代の原理ではシリコン面積が無視できないほど増大し、製造コストを非現実的なものに押し上げてしまう。そこで考案されたのが電子のスピン(自転)による磁気モーメントを利用して磁化反転を起こす、スピン注入メモリ(STT-RAM)である。STT-RAMでは磁界発生用配線が不要になるので、メモリセルを小さくできる。このため、「第2世代」の磁気メモリ(MRAM)とも呼ばれる。

従来のMRAMのSRAM互換から、DDR3互換のインターフェイスになった。
当初は64MbitなのでSSDのキャッシュ用DRAMの置き換え。
プロセスは、90nmのCMOSのよう。
来年はようやく次世代不揮発性メモリが始まる年になるのかも。


エバースピン社の世界初64Mb Spin Torque MRAMの限定出荷開始を発表〜高信頼性、省エネのハイエンドストレージを実現〜
http://www.teldevice.co.jp/news_release/2012/press_121122.html