【MMM/Intermag 2013レポート】製品化されたスピン注入メモリの技術概要をEverspinが公表

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/20130121_584255.html

 ところで64Mbitという記憶容量は、DRAMに対抗するにはまだ物足りない。DRAMに対抗するには、少なくとも1Gbitの記憶容量が必要だろう。単純計算では、90nmの製造技術を20nmまで一気に微細化すると、同じメモリセルアレイの面積で記憶容量が1Gbit強になる。

 20nm技術に微細化する時の技術課題は少なくとも2つある。1つは、Everspinが採用した磁気記録方式が使えないこと。製品化されたスピン注入メモリではMTJの磁化方向は磁性膜の面内と平行な方向になっており、HDDだと「長手磁気記録」に相当する。この記録方式は技術的には難易度が低いのだが、微細化に向かないという欠点がある。20nmだと、長手磁気記録ではなく、磁化の方向が磁性膜を貫く「垂直磁気記録」を採用する必要があるだろう。

 MMM/Intermag 2013では、Samsung Electronicsが20nmクラスのスピン注入メモリを検討した結果を講演していた(S. Kimほか、発表番号FF-11)。製造技術を微細化していくと、30nm付近からMTJ素子の熱安定性が急速に低下するという。これが2つ目の課題で、熱安定性の低下、である。対策としては例えばトンネル障壁層を2つ設けた構造のMTJ素子が提案されている。

サイズ面ではまだまだか。