グーグル、モトローラ使ってサムスンに2度の打撃  :日本経済新聞

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK19033_Z10C14A2000000/

 それにより悪化してしまったことがある。サムスンは電話のダイヤル機能やカレンダー、電子メールソフト、連絡先、お知らせ機能、音楽・動画プレーヤー、音声認識などソフトウエアの大部分を自社のアプリに切り替え、アンドロイドの性能を落とし始めた。タッチウィズの評判は総じて悪かった。水ぶくれしたタッチウィズがアンドロイドを遅くし、メモリー領域を無駄に使い、代替アプリの方は機能が劣るというよりも、必要性が感じられないモノとみられていた。
 サムスンはさらに有利に開発を進めた。同社は市場で優位に立つスマートテレビの自社製品にタッチウィズを搭載し、アンドロイドに対抗するOS「Tizen(タイゼン)」を構築し始めた。タイゼンはタッチウィズのインターフェースのおかげで、一般のユーザーにとってはほとんど同じに見える。同社の長期的な戦略ははっきりしていた。タイゼンへの切り替えを進め、携帯端末の市場のほとんどを我が手に入れることだ。グーグルが黙っているわけがなかった。

 サムスンの反応はこうだ。2014年1月27日、グーグルとサムスンは広範囲の国際特許に関して合意に達した。合意内容は今後10年間、有効という。この中には、サムスンがタッチウィズ推進の手を緩め、カスタマイズの際には中核的なアンドロイド向けアプリを再び中心に据え、サムスン独自のアプリに優先させるほか、「マガジンUX」インターフェースのようなより過剰なカスタマイズは取りやめるという合意が含まれる。2日後、グーグルはモトローラ・モビリティーを中国レノボ・グループに売却すると発表。対サムスンと対レノボ、二つの合意に向けた動きを同時に進めていたことが明らかになった。

モトローラが現金で32億ドルを持っていることと、繰り延べ税金資産として24億ドルを処理していること、さらに2013年にモトローラの2つの異なる事業部門を売却した(※)合計が25億ドルになったことを見落としている。

 レノボによる買収から、グーグル傘下にあった間モトローラに発生したおおよそ20億ドルの損失を差し引いても、グーグルはモトローラが持っているもの――55億ドル相当の特許と同社の最先端の研究センター――に対して30億ドルしか支払っていないことになる。