日本の音楽に自由を!:「元JASRAC」作曲家・穂口雄右が語る、著作権問題とその元凶

http://wired.jp/2012/11/26/interview-copyright/

春一番」には音楽出版社著作権がありません。発売当初(1976年)は渡辺音楽出版と契約していたんですが、いまから約20年前に契約解除して著作権を返してもらいました。続けて出たシングルの「夏が来た!」もそうです。だからこの2曲に関しては、完全に著作権が私の手元だけにあります。こういう、ほかにまったく著作権利者がいない状態をつくり出すことは、ほぼ不可能でしょう。

問題は、その放送局が膨大な曲数に対して著作隣接権をもっており、さらに傘下には著作権利者である音楽出版社をもってるってことですね。例えばフジテレビ系のフジパシフィック音楽出版。あそこはいま、管理楽曲が10万曲を超えてるんです。TBS系の音楽出版社の日音もやっぱり10万曲もってる。放送局が音楽出版社をもって曲の運用に影響力をもつということは、つまりその系列の構図で、著作権料の半分が放送局に入っちゃうということです。番組等で曲を放送したぶんだけじゃないです、一般の人が買ったレコードやCDの売上のぶんもですよ。全部の著作権料のなかから半分は、傘下の音楽出版社を通して放送局がもってっちゃう。つまりそこで著作権料のダンピングが起こっているわけです。そういう真実がある。

いま問題になってることで言えば、例えばYouTubeで視聴者が気に入ってる動画が削除されちゃうと。でもJASRACは何にも削除なんかしていませんよ。むしろJASRACYouTubeに対して許諾しているんですから。契約を締結していて、いまYouTubeは収入の2%かな、JASRACにお金を払ってますからね。じゃあ動画を消してるのは誰かといったら、あれは権利を主張する企業、すなわち著作隣接権者の仕業なんです。要するにテレビの番組には曲に関する著作隣接権という権利があると。それを盾に消しているんですよ。

YouTubeにないもの、iTunesにないものは「この世界にないもの」ですよ。そこにないものはもう相手にされない。